「不細工じゃのぅ」



「失礼でしょ。先輩に言う言葉じゃない」



多分、私の顔は今、真っ赤だ。



恥ずかしくて穴があったら入りたい。



「俺は彼女にしかキスせんぜよ」



つまり、私は彼女じゃないからキスなんかしない、ということか。



「じゃぁ…私がキスしたら、彼女にしてくれるの…?」



え、私今なんて言った?



彼女にしてくれるのって、何口走ってんの。



恥ずかしい恥ずかしい。



「なんて、嘘だから!!ごめん。気にしないで!!」



走って逃げようとしたらまさに腕を引っ張られた。



私はもちろん逃げられなくて、まさの顔を見ないように振り返らないという選択をするしかなかった。



「名前ちゃん、こっち向いて」

「…」

「…先輩、こっち向いてください」



珍しく標準語でしゃべるもんだからびっくりして、まさに引っ張られて簡単に向き合ってしまう。



そして触れるだけのキスをされた。



「え…」

「今日から名前ちゃんは俺の彼女じゃ」



嬉しそうにして私を抱きしめる。



「もう…そうやっていつも自分の思い通りにするんだから」



何でも思い通りにする力をまさは持ってるのかもしれない。



ずるいよ。



そうやって私の想いまで自分の中に取り込んじゃうんだ。



「当たり前ぜよ。俺を誰だと思っとるんじゃ」

「…この詐欺師!!」



私が思い切り抱きつくとまさはクスクスと笑っていた。



END...


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