告白現場



体育館裏には綺麗な女の子と仁王の姿。



まただ…。またあいつは告られてる。



あたしの前で何度告られれば気が済むんだ。



女子生徒と仁王の声が聞こえる。



「今は私を好きじゃなくてもいいの。これから良く知り合って好きになってくれれば。だから付き合って」



よく知ったからってあんたを好きになるとは限らない。



彼女はそうは思わないのだろうか。



「じゃから、俺は今は誰とも付き合う気はないんじゃって」



参ったように髪をいじる。



誰とも…。



そっか、“誰とも”ね。



その言葉があたしの心に大きな音を立てて刺さる。



「仁王君には好きな子居ないんでしょ?だったら付き合ってくれても」

「悪いがお前さんと付き合う気はなか」



仁王には好きな子が居ない。



これは良かったと思っていいのかよくないのか。



好きな子がいないということはまだチャンスはあるともとれるけど、あたしはクラスメートとしか見られてないってことでもある。



じゃあ、あたしの片思いは無駄なのかな。


「部活があるからもう用ないなら帰ってくれんか」



仁王のその言葉を最後に彼女は泣きながら走っていった。



仁王は彼女のことは気にも留めずにあたしが隠れている方に歩いてくる。



やばい。ばれる…。



あたしはそう思って倉庫の陰に隠れた。



仁王と思しき足音が通り過ぎたから倉庫の陰からでるとそこにはよく見知った銀髪の男。



「仁王…。知ってたの?」

「人の告白現場を覗き見とはお前さんも趣味が悪いのぅ」

「なっ!!違っ…」



趣味なわけないじゃん。



仁王がどういう反応するか気になったからだ。



「たまたまにしてはじっくり見とったし」



全部気付いてる。



戻る