亮君が触れたところが熱を帯びた気がする。



「なんでもないよ。ごめん」



何とか涙が止まって亮君に笑いかける。



いいんだ、亮君はこの涙の理由を知らなくて。



「平気だから」

「…」



気づけば私は亮君の胸の中にいた。



亮君の身体の熱が伝わってくる。



今、私、抱きしめられてる…?



そう認識したら急に恥ずかしくなってきて、離れようと亮君を押す。



でも女の私の力では亮君の力には及ばない。



「りょ…」

「ごめんな」



何で、どうして謝るの?



亮君は何も悪いことなんてしてないのに。



「俺、お前に甘えすぎてた」



私の頭上から落ちてくる声は普段の亮君のものじゃない。



「お前が我慢してんの知ってたんだ」

「どう…して…?」



身体の間に少し空間を開けて、目を合わせる。



「俺だって、手繋ぎたいし、抱きしめたいし、その…キスもしたいから」



真っ赤になりながら言ってくれる言葉はどれも私が聞きたかったことばかり。



亮君も同じ気持ちだったんだ。



「だから…あのよ、俺、お前のことちゃんと好きだぜ?」



止まった涙がまた溢れる。



でも今度は嬉し涙。



聞きたかった言葉がやっと聞けた。



「不安にさせて悪かった」

「ううん、いいの」



私は亮君の背中に腕を回した。



初めて抱きついたその体からはドキドキと速い鼓動が聞こえてきた。



END...


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