名前に幻滅されて、好きだとも言えなくて、情けない。



そうしてまた他の子の気持ちを利用し始めるんや。



「望みないの?誰かの彼女ってこと?」



理解不能だという顔で尋ねられる。



「ちゃうよ。ただその子が俺のことなんて微塵も想っとらんってわかっとるんや」

「そう…」



名前は空を見上げる。



何か考えているようだ。



俺も名前に倣って空を見上げる。



大きな白い雲があって、その後ろに綺麗な青が見える。



空を見上げると自分が小さな存在に思えた。



好きや、って一言だけ言えばええのにそんなこともできないちっぽけな存在。



「私だったらさー」



沈黙を先に破ったのは名前だった。



「ちゃんと言うよ。忍足くんのことが好きですって」

「え!?」



驚いて名前を見たら立ち上がってこっちを見て照れながら笑っていた。



「望みがなくてもその人に言ってみたら?何かが変わるかもしれないじゃん」



じゃあね、と言って立ち去ろうとする腕を掴んだ。



名前は振り向かない。



今、彼女はどんな気持ちなんやろう。



「ほんなら俺も…言うてみるわ」



そのまま名前の体を引き寄せて抱きしめる。



そして耳元で囁いた。



「名前がめっちゃ好きや」



俺の腕を掴んで頷いた名前がすごく愛しかった。



END...


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