命令口調



本当にあいつは…。



何でこうも我が儘で自分勝手で自己中なんだろう。



だからあたしはあいつが嫌いだったのに。



何であたしはあいつを好きになってしまったんだろう。



「おい」

「なんでしょう?」



生徒会長。



こいつがあたしの好きな人…。



前はありえないと思ってたんだ。



どっちかっていうと最もあたしが嫌いなタイプ。



「早くその書類の整理をしろ」



だいたい何でもかんでも命令口調でムカつくんだよね。



でもあたしはその下で副会長として働いてる。



「はいはい」

「フン」



ていうかこの書類の整理は会長の仕事じゃないの?



何であたしが押し付けられてんのよ。



わけわかんない。



「おい」

「はい」

「そっちが終わったらそこのだからな。早くやれよ」



あたしの目の前の机の上の大量の書類。



『早くやれとかいうくらいならアンタも手伝いなさいよ』



と言いたい。



けど我慢だ。



彼に嫌われたくはない。



それに彼を好きになってからよく彼を見るようになったけど。



誰一人として跡部景吾という男に意見する人はいない。



絶対ムカついてるはずなのに誰も。



多分部活でも同じ感じなのだろうけど。



誰も意見しているところを見たことがない。



「まだ終わんねぇのか、アーン?」



指示を出されて結構時間がたった頃に言われた。



そりゃ、終わんないよ。



どれだけの書類があると思ってるんだこの男は。



「すみませんね、会長ほど要領がよくないので」



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