言ってしまった手前しょうがなく立ち上がる。



「待てよ。お前がいなきゃ俺がここまで来た意味がねぇ」



意味…?



そうだよ。



何で跡部はこんな急にここに来たの。



何しに来たの。



どうして…



でも知ってしまうのが怖い。



「私には関係ない」



私は逃げるように立ち去ろうとする。



けど歩き出した瞬間腕を引っ張られて跡部の腕の中。



「2度目は聞いてすらくれねぇのかよ…」



跡部は私の肩に顔をうずめて小さな声で呟く。



さっきまでの自信満々な声ではなく弱々しい声。



2度目って…何のことよ。



「離して」



このまま抱きしめられていたいけど変な勘違いをしてしまう。



「嫌だな。離したら…名字はまた俺の前からいなくなる」



私の名前を言うときだけ少し躊躇う。



「何なの?跡部は何がしたいの?」



私は跡部の胸を押して離れながら言う。



そして私は跡部の目をまっすぐ見つめる。



跡部の言わんとしてることがわからない。



いきなり抱きしめてきて何がしたいのか全くわからない。



やめて…。



勘違いしちゃう…。



「俺がここまで言ってもわかんねぇのかよ」



溜息をつく。



意味わからん。



「俺は…お前が好きだ。ずっと俺の気持ちは変わってねぇ。ここまではっきり言ったらわかるだろ」



ニヤッと笑ってもう1度私を抱きしめる。



さっきよりも強い力で。



「なぁ…もう1度言う。俺と…付き合えよ…」



どんどん跡部の力が強くなっていく。



「誰を好きになるんじゃなかったんだよ…?」

「何でもない…」

「俺か?」



ふっと笑って私を見る。



「そうだよ!!悪い?」



あー言っちゃった…。



どんな顔するんだろ。



チラッと跡部を見ると少し嬉しそうに微笑んでいた。



ここに来たのは偶然かもしれない。



そして私とここであったのも偶然かもしれない。



「跡部、私もうあんたから離れてやんない」

「当たり前だ。3度目はねぇ」



不適な笑みを浮かべた跡部は私を抱きしめる力をよりいっそう強めた。



END...



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