「何で跡部がこんなとこにいるの?ここ私の場所なんだけど」

「名前だけの場所じゃない。ここは俺とお前の場所だ」



確かに昔はそうだった。



けど今は違う。



最近になって跡部とここで会うことは殆どなかった。



だいたいどうして今日に限って跡部がこんなとこにいるのよ。



「名前で呼ばないで。あんたとはもうそんな仲じゃない」



あーもう…。



私はなんて素直じゃないんだろう。



本当だったら何度だって名前で呼んで欲しい。



なのに素直にそうは言えない。



可愛くないな、私。



「そうか、悪かったな。それで、誰を好きになるんじゃなかったって?」

「ほっといて。跡部には関係ないでしょ。てか出てけ」



出てって欲しいなんて思ってない。



むしろ一緒にいたい。



けどそんなことは言えない。



だって跡部をフったのは私。



跡部は私に好意を抱いてくれたのに。



なのに私は断った。



だからそんなことは言えない。




「嫌だな。お前の言うことなんざ聞いてやんねぇ」

「ふざけんなっ!!今まで目だってあわせなかったくせに。いきなりノコノコ現れんな」



不快そうな顔をして私を見る跡部。



昔より眼光が増してる気がする。



「俺の居場所は俺が決める。お前には関係ない」



関係ない…。



この言葉が私の心に突き刺さる。



乙女心とか言うようなデリケートなもんじゃないけど。



なんとなく拒否られた感覚。



「あっそ。じゃぁ私が出てく」



出て行きたくなんかない。



ずっと話していたい。



でも私の口からはそんな素直な気持ちとは間逆の言葉がついて出る。



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