濡れた制服を脱いで蔵君のジャージを着ると蔵君の匂いに包まれた。
蔵君のなんやから当然なんやけど、それが心地良く感じた。
勿論サイズは大きいから袖と裾は折った。
「蔵君…?」
部室のドアを開けて顔だけ出すと、蔵君は壁にもたれて立っていた。
こんな寒い中悪いことしてしもたな。
「着替え終わったん?入ってええ?」
「う、うん」
蔵君は部室に入ってきて、私を見て笑顔になった。
「なかなか似合うやん」
頭を撫でられて蔵君の手が冷たいことに気づいた。
あんな寒い中外に居ったら当たり前か。
「ごめん」
「ええて。もともと俺らが悪いんやし」
笑顔を向ける蔵君は多分私の謝罪の意味はわかってないやろう。
蔵君の髪の毛の先からポタッと滴が落ちて、寒そうやったからつい言うてしまった。
「蔵君は着替えへんの?」
蔵君はキョトンとして苦笑した。
「せやなぁ。そうするわ」
そう言ってジャージを脱ぎ始めた。
え、嘘、私の前で着替えんの?
でもそっか、ここって蔵君の部室やから当たり前…ってそーやなくて!!
私どうしたらええの。
とりあえず蔵君に背を向けて着替えを見ないようにしよう。
「なぁ…」
「ひゃっ!!」
いきなり耳元で蔵君の低い声がして吃驚した。
何や用事やと思って振り返ると、上半身が裸の蔵君が至近距離にいた。
「く、蔵君!?早よ着ないと風邪ひいてしまうよ」
そう言いながら私は蔵君の体から目をそらす。
だって凝視できへんもん。
好きな人の体なんて恥ずかしくて見られへん。
それに蔵君、鍛えとるからええ体しとるし。
「好きな子に体見られてそんな反応されたら理性飛ぶんやけど…」
「何言うて…」
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