雪合戦



冬休みなのに私が学校に来てるんは部活があるから。



いや、正確には好きな人に会えるかもしれへんから。



私がたまたま気まぐれで入った新聞部に格好ええ男の子が居って、たまたま話すようになって、好きになってしまった。



彼、白石蔵ノ介はテニス部部長でありながら、新聞部でも活躍しとるイケメン。



まさに才色兼備な人。



やること全てが完璧で多くの女子生徒の憧れの的でもある。



私もその一人やけど。



「雪積もってるから蔵君、部活してへんのやろうな」



下駄箱まで行く間に通るテニスコートには誰も居らんくて、足跡が一つもない真っ白な絨毯みたいな状態やった。



ちょっと落ち込みながら下駄箱に向かう。



今日も寒い。早よ部室行ってあったまろ。



なんて考えて足を進めた時やった。



「危ない!!」



声と一緒に白い塊が飛んできた。



「うわっ!!」



かわいげもない声と共にコケる。



積もった雪の上に尻餅をついて水が染みてくるんがわかった。



立ち上がって雪を払うけど溶けて染みた雪は私の体温を下げる。



「大丈夫か!?」



走り寄ってきたのは、部活のジャージ姿の蔵君で、その後ろに謙也君たちもいた。



「怪我してへん?雪合戦してたら雪球が飛んでってしもて」



多分その雪球を投げたのは蔵君やないんやろう。



蔵君の鋭い視線が謙也君を見てるし。



「大じょう…くしゅっ」

「大丈夫やないやろ。ちょっと来ぃ」



手を引かれて歩き出す。



蔵君は無意識なんやろうけど、好きな人と手を繋いどる状態で私は恥ずかしくなった。



「入って」

「え、でもここ…」



そこは男子テニス部の部室。



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