てかあたしを怒って連れ去った時点で独占欲丸出しなのに気づかないのかな。
「名前…、名前は俺のもんや。謙也なんかにやらん」
白石ってこんなに嫉妬深かったのね。
「謙也に近づいたらあかん」
「はい?謙也君は「それと!!」
白石は右手をあたしの頬に添える。
白石の手から熱が伝わってくる。
「何で謙也は名前で、俺は苗字なん?俺も名前で呼んでほしい」
「えー…いや…、それはー」
急に白石を名前で呼ぶなんて。
謙也君は周りも名前で呼んでるから何の抵抗もないんだけど。
白石は周りも苗字だからさ…。
「俺のこと、嫌い?」
「いや!!そんなことないけど。てか好きじゃなきゃ付き合ってないし」
「せやったら今呼んで」
「今!?」
「せやで」
嬉しそうにあたしを見つめる。
しょうがない…。
「く…」
「白石ー!!見つけたでぇー」
あ、金ちゃんだ。
金ちゃんは白石に走りよってくる。
「もー探したでぇ。かくれんぼちゃうねんから―――って…え…?」
白石は明らかにキレている。
「あり?ワ…ワイなんかしてもーた?」
金ちゃんはあたしを見る。
そんな助けを求める目をされても…。
「金ちゃん…」
白石は解きかけの包帯を更に解き始める。
「いややー!!毒手はー!!」
金ちゃんは走り去っていく。
白石も金ちゃんを追う。
「金太郎、待ちやー」
よかった…。
なんとか白石の名前呼ばなくてすんだ…。
「金ちゃんのせいでさっき聞けへんかった。もっかい言うて?」
「ぇ…」
「……」
「くら…のすけ…」
「ん。ようできました」
END...
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