光は眉間に皺を寄せる。



「そんなんどうでもええですわ」



これ以上下がりきれなくなって私の背中は壁にあたる。



光が腕を私の左右の壁について逃げ場をなくした。



「謙也さんと仲良うしとったらからムカついた」

「は?」



謙也と仲良くしてたっていつよ。



そりゃ同じクラスだし、仲良い方だとは思うけど、彼氏に言われるような行為はしてない。



だいたいあのヘタレの謙也が後輩だとしても人の女に手を出せるはずがない。



「体育んとき、謙也さんとずっと一緒やったやろ」

「あぁ…あれ」



思い出せば、確かに私は謙也といた。



50m走のタイムがどうしても上がらなくて、速く走るコツを謙也から聞き出していた。



それを光は教室から見てて謙也にやきもちを焼いてるんだ。



「俺のこのイラつきはどうしてくれるんスか」

「えーと…。とりあえず離れようか…?」



光から目をそらすと光はキスをしてきた。



しかもかなり深いの。



「ん…ちょ、ひか…」



息をつく隙も与えてくれずに貪るようにキスをする。



長いキスを終えて光が離れると光はびっくりしてた。



「何で泣いてるんスか…!?」

「えっ…」



指を自分の頬に持っていくと冷たい感触。



いつの間にか涙を流していたんだ。



「…はぁ。先輩にはかなわん」



チュッと今度は優しく頬にキスをしてくれた。



「しゃーないから許したりますわ。せやから泣かんといてください」

「もう無視しない…?」

「しませんわ」



私の頭をぐしゃぐしゃと不器用に撫でて微笑んだ。



END...



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