無視
「光ー」
「…」
「おーい、光くーん」
「…」
「ひーかーるー」
「…」
何度読んでも反応はしない。
多分、ていうか確実に意図的に無視してる。
光は耳にヘッドフォンをして私の声には全く意識を向けてくれない。
私が悪かったのはわかってる。
光のぜんざい勝手に食べちゃったから怒ってるんでしょ。
でも無視することないじゃん。
「もーいい!!新しいの買って来ればいいんでしょ!!光のばかぁ」
立ち上がって光の部屋を出ようとしたら腕をつかまれて引きとめられた。
光はヘッドフォンを外して首にかける。
こんな時でもその姿を格好良いと思ってしまう私は相当重症だ。
「何言うてるんですか」
座ってる光は私を見上げて呆れた顔をする。
「何で俺が怒ってるんかわかってへんのですか…」
そう言って立ち上がってヘッドフォンを机の上に置く。
私に一歩ずつ近づいてくるから私は追いつめられるように一歩ずつ後ずさりした。
「何でってぜんざい食べちゃったから…でしょ?」
「あー、あれ先輩やったんですか」
あれ?違うの?
それじゃないなら何で光は怒ってるの?
わかんないよ。
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