テニスコートから走ってきたんか、テニス部のジャージのまま息を切らしてる。
無言でうちから携帯を奪って電話に出る。
「白石!!何しとるんや、アホ!!」
大きな声で叫んで息を吐いた。
「…そんなをええねん!!ちゅうか犯人明らかに自分やろ」
何の話かなんてわからん。
ただうちの目の前には真っ赤な顔で騒ぐ忍足君が居る。
「あー、もうええ…。後で話す」
電話を切って携帯をポケットに入れる。
「ほんまおおきに。探してたんや」
笑いかけてくれる顔は少し赤くて、うちもその格好良さに多分顔が赤くなった。
「ううん、見つかって良かったね」
うち、ちゃんと笑えとるかな。
緊張で心臓がバクバクする。
「あの…白石に何や言われたりしてない?」
「白石君?してないよ」
「ほんまか!?良かったー…」
忍足君はその場で座り込んだ。
そして下を向いて頭を掻く。
よう考えたら今うち、忍足君と話しとるんよね。
うわぁ、恥ずかしい。
しかも今二人きりやし。
「白石に言われとったらどないしようかと思った」
忍足君は立ち上がってうちに一歩近づく。
真っ直ぐ見つめる瞳に吸い込まれそうで、うちはちっとも動けへんかった。
「俺、名字さんのこと好きやねん」
一瞬忍足君の言ってる意味がわからなかった。
だって今、うちのこと好きって。
「良かったら付き合うてくれへんかな…?」
耳まで真っ赤にしてる忍足君はうちを引き寄せて抱きしめた。
忍足君の体は熱くて、めっちゃドキドキしてるんが伝わってくる。
「心臓、ドキドキしとる…」
「あ、当たり前やろ。好きな子前にしてドキドキしない方がおかしいっちゅー話や」
うちは忍足君にぴったりくっついてその鼓動を感じる。
「うちも…めっちゃドキドキしとる」
「お、おぉ」
忍足君は照れたように返事をして腕にもっと力を込めた。
「ずっと前から忍足君のこと好きやった」
ほんまは隣の席になるずっと前から好きやった。
クラスが一緒になった時からずっと。
「彼女にしてください」
「もちろんや」
END...
←→
戻る