act.7
謙也さんとラブルスの2人と帰りにお好み焼き屋に寄り道をしてたら聞き慣れた声が聞こえた。
「何でなん?ワイやったら絶対諦めへんで」
「私は金ちゃんとは違うの。それにもういいんだって」
その声に気づいたのは勿論俺だけやなかった。
「金ちゃん!?」
「あ、謙也ー!!」
ブンブンと手を振る金太郎は成長して背が高くなっても中身はちっとも変わらへん。
「やーん、何で金太郎さんが居るの?」
「今名前とデート中やねん」
その言葉を聞いて頭を鈍器で殴られたような気分やった。
まさか、部長を諦めて好きんなった相手って金太郎なん?
「違ーう!!デートじゃないから!!」
必死で否定する名字と一瞬目が合ってあからさまにそらす。
俺って全然成長しいひんな。
「名前ちゃん、お久しぶりやね。もう大丈夫なん?」
「うん?大丈夫ですよ?」
多分金色先輩は遠まわしに部長のこと言いたかったんやろうけど名字には通じてへんかった。
「名字、俺ら隣座ってもええ?」
「どーぞどーぞ」
一氏先輩に笑顔で席を譲る。
何で一緒に食べなあかんねん。
と思いつつ実は喜んどるんも事実。
「名前な、白石と別れてもーてん」
お好み焼きを口に詰め込みながらおそらくさっきまで話しとった話をする。
名字は苦笑しながらそんな金太郎を見てた。
「白石と同じ高校に通う俺らが知らんはずないやろ」
「なんや、ワイだけ知らんかったんや」
仲間外れやんとか言うて拗ねるけど、そこで金太郎は思い出したように笑った。
「ほな、名前に新しく好きな奴居るんは知っとるか?」
「ちょ、金ちゃん!!」
「「「は?」」」
顔を赤く染める名字に3人の視線が集まった。
無論俺は黙々とお好み焼きを集中して食べる。
名字の好きな男の話なんてしたなかった。
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