act.3


学校で、先輩らを見るといつもイチャついとる。



正直びっくりした。
あんなに男嫌いやったはずの先輩が部長とうまくいっとるから。



「なまえ、帰るで」

「ん。」



2人で手を繋いで部室を出て行くのにはもう違和感なんてない。



部活外でも一緒に居るのを何度も見てる。



先輩は顔はええ方やし、部長とお似合いやろう。



「部長となまえ先輩くっつき過ぎやろ」

「光、羨ましいんやー」

「何言うてるんですか、謙也さん。それは自分やないですか」

「ほっとけ」



否定せえへんのや。



まぁ、確かに部活を理解してくれる彼女は誰だって羨ましい。



俺らテニス部は部活がない日なんて少なくてなかなかデートやってできへん。



その点部長となまえ先輩は同じ部活やし、家も近いみたいやから心配はない。



「謙也さんも彼女つくらへんのですか」

「アホ言え、俺は今テニス一色やねん」

「あー、ヘタレやから女子に近づけへんのや」

「うっさいわ、ボケ」



頭をペシンと叩かれる。



せっかくセットした髪を崩されてムカついたから謙也さんを睨む。



「俺かて好きな女の一人や二人…」

「二人もいたらアカンのと違いますか?」

「アホ。言葉の文や、言葉の文!!」



ほんまに謙也さんに好きな女なんて居るんやろうか。



まぁ、俺には関係ないしどうでもえーけど。



「鍵閉めるわよー」



部長が先に帰った日の鍵当番は金色先輩。



部室を出てもまだ謙也さんは騒いでる。



ほんま喧しい人や。



「でもほんまに仲ええわよね、あの二人。羨ましくなってまうわ」

「小春ぅ〜。小春には俺がおるやん」

「先輩らキモいッスわ」



羨ましい、そら誰だって思う。



でも俺は狡いとも思ってる。



だって二人とも名字が辛い思いしとるのにあんな幸せそうにしとるから。



何で名字だけあんな辛そうやねん。



別になまえ先輩も部長も悪ないのはわかってる。



せやけどイライラすんのはしゃーないこと。



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