昼休みの電話の後から電源が入れられない携帯。


はるちゃんはさっきからそんなわたしをアホだって連呼しまくっている。

そんなに言わなくてもいいのに。もともとははるちゃんが勝手に白石さんに電話したからだもん。



「ほなあたし部活やから。ええ加減にしないと白石さんにほんまに嫌われんで」



不吉なことを言って教室を出て行ってしまった。


でもね、嫌われても仕方ないかも。

だってあれ完全なるいたずら電話だよ。いくら優しくて寛大な白石さんでも怒るよね。故意にやったことじゃないけども。



とぼとぼと一人家までの道を歩く。

帰り道がすごく長く感じる。できることならあの二人で出かけた日に戻りたい。あの時は短く感じたのに。



「ただいまー」



リビングに行く気にもなれなくてわたしはまっすぐ自分の部屋に行った。制服のままベッドに倒れこんで目を閉じた。


あーあ…わたし嫌われちゃったかなぁ。















「名前ー!!謙也くんがきたよー?」



一階からのお母さんの声で目を覚ます。制服姿のままの自分を見て何回か瞬きをした。


あれ、わたし寝ちゃってたのか。



「名前ー?寝てるのー?」

「あ、今行く!!」



制服を軽く直して急いで階段をかけ降りる。


謙也くん、何の用事だろうなんて思ってたわたしは全然予想もしなかった。そこに白石さんがいるなんて。


階段をかけ降りて玄関に向かう。それは謙也くんが来た時はいつものことだ。



「どうしたの、こんな時間、に……!?」



いつも通りの筈なのに。玄関には制服姿の謙也くんがいるだけじゃない。


どうして!?白石さんがいる…。



「しし、しら、白石さ、ん」



わたしは寝ぼけてるの?ううん、そんなことないよね。でもどうして白石さんが…。あ、いたずら電話の件で文句つけに来たとか。



「名字さ、」

「ごめんなさい!!あの、あれはかけ間違い…じゃないですけど、間違って、あの…」



わたしは白石さんが言葉を発する前に頭を下げた。


お願いだから嫌わないで。恋愛対象として見てなくてもいいから。妹みたいでもいいから、嫌わないで…。




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