日曜日、いつもより少し早めに目が覚めた。昨日の夜は今日が楽しみ過ぎてなかなか寝付けなかったのに、わたし相当嬉しいんだ。



「よし、準備しよ」



待ち合わせまで時間はたくさんある。でも余裕を持って行動しなきゃ。



シャワーを浴びて髪を念入りに乾かす。はるちゃんと買いに行ったシフォンワンピースを着て、髪を少しだけ巻いてみた。

はるちゃんはお化粧もするように言ってたけど、わたしはあまりお化粧したことないし、狙ってるとか思われたくないから唇にリップを塗るだけにした。


最後にカーディガンを羽織って全身鏡に姿を映す。



変、じゃないよね。くるりと回ってみるけどおかしな所はない。よし、大丈夫。



「そろそろ出なきゃ」



鞄を持って履き慣れている少しヒールのある靴を履く。白石さんは背が高いからちょっとくらいヒールがあっても大丈夫。



「行ってきまーす!!」

「いってらっしゃい」



お母さんに見送られて玄関を出る。



空は青くて、頬を撫でる空気は暖かい。春らしくて暖かい、天気の良い一日になりそう。



待ち合わせ場所の地元の駅は休みだからってすごい混むわけじゃない。わたしみたいに待ち合わせをする人もいれば、さっさと改札を通って行ってしまう人もいる。

わたしもいつもは駅で人を待ったりしない。学校の友達と遊ぶ時はだいたい現地集合だし、謙也くんは家から一緒。


だから駅で待ち合わせって言うのにちょっとドキドキしてる。



「あ、」



白石さん、もういる。混んでいないせいか、それとも白石さんの背が高いからかすぐにわかった。



「あ、あの、お待たせしちゃいました」



駆け寄ると白石さんはわたしに目を向けてにっこり微笑んだ。



「名字さん、おはようさん。俺も今来たとこやし気にせんで」



白石さんはジーンズにTシャツ、その上に薄手のジャケットを着ていて、お洒落でかっこいい。


どうしよう。わたし白石さんに並んで釣り合うかな…。



「名字さんの私服姿かわええなぁ」

「え、あの、わたし、そんな全然」



慌てて否定するせいでうまく言葉にならない。お世辞ってわかってるのに、白石さんに言われるとドキドキしてしまう。



「くく…、ほんまやって。かわええ」



一瞬にしてわたしの顔は真っ赤に染まる。白石さんがかっこよすぎて見ていられない。しかも素敵な笑顔で可愛いなんて言ってくれる。



さらっとわたしの頭を撫でて笑う白石さん。それから、行こかと言って改札を通る。



もう、心臓が保たないよ。




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