毎日受信する白石さんからのメールを楽しみにしているわたしがいる。
部活が忙しくて、しかも部活後に自主練もしてるから疲れてる筈なのに合間を縫って欠かさずメールをくれる。
他愛もないことばっかりなのに心がほっこりあったかくなるのはわたしが白石さんを好きだから。
「最近の名前は機嫌ええなぁ」
「そ、そうかな?」
「携帯見てニヤニヤしとる。さては、幼なじみの友達と何かあったんやな!?」
はるちゃんは本当に勘が鋭いと思う。ていうかね、わたしそんなに携帯見てニヤニヤしてないよ!!そりゃちょっとは喜んではいるけども。
「な、何も。ただメールくれるってだけで」
慌てて携帯の電源ボタンを押してトップ画面に戻す。今来たメールの内容は言えない。絶対何か言われる気がするもん。
「ほなら今何てきたん?ぜーんぶうちに話しなさい!!」
「ちょ、うわゎ、やめてよ、はるちゃん〜」
わたしが白状(?)するまでやめないと言ってくすぐってくるはるちゃんには、抵抗も虚しく全て話した。
「つまり、毎日メールしとって、誕プレ渡して、そのお礼に今度デートしよってことやんな?」
「え、デート…じゃないと思うけどな…」
今受信したメールには白石さんからのお誘いが書かれていた。
『今週の日曜日、部活休みなんやけど、もしよかったらどっか行かへん?誕生日プレゼントのお礼も兼ねて』
あまりにも急なお誘いに吃驚したけれど、嬉しくなってしまった。
プレゼントのお礼なんていらない。でもお休みの日に白石さんに会えるのはすっごく嬉しい。
「どう考えてもデートやろ。そうと決まったら服とか色々買わな!!学校終わってから買い物行こうや」
わたしは別に持ってるものでいいと思ったんだけど、はるちゃんの押しに負けた。
学校が終わってから急いで家に帰ってはるちゃんとショッピングモールに行く。はるちゃんはわたしよりもセンスが良いからわたしに似合う物を選んでくれる。
「これもかわええ!!絶対名前に似合う!!あ、でもこっちもええなぁ」
棒立ちのわたしに服を合わせて楽しそうに悩むはるちゃん。ふふ、わたし良い友達持ったなぁ。
「名前はどっちがええ?」
「そうだなぁ…」
はるちゃんが手に持つ服は、片方が春らしい白地にピンクの花柄シフォンワンピース。もう片方はシンプルなブラウスにリボンがついてて、お洒落な柄物のスカートを合わせた物。
どっちもすっごく可愛い。流石はるちゃん。
「やっぱりワンピースがいい、かな…」
「うんうん、絶対かわええと思う。しかもかわええけど狙いすぎてないし」
はるちゃんに試着してくるように促されてフィッティングルームに入る。ワンピースを抱きしめて日曜日のお出かけを想像した。
白石さんに少しでも可愛く見てもらえたらいいなぁ。
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