「芥辺さん、」
名前を呼ぶと、チラリと視線を此方に向ける。
「何だ?」
「……芥辺さんっ!私のことを抱きしめて、好きだって言って下さいっ!」
「…」
しん、と静まる。
何故私がこんなことを言っているのかと言うと……。
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「はい、なまえちゃん負け〜!」
「え〜…、そんなのずるいですよっ!」
「負けは負けや!」
「さ、罰ゲームですよ。」
そんなこんなで、私はアザゼルさんとベルゼブブさんの罰ゲームを受けるのでした。
「……で、何をするんですか?」
「そうですねぇ…。」
「あっ、こんなんどう?!私のことを抱きしめて、好きって言って!って言うの!」
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…で、現在にいたる。
多分後ろのドアの方で、この状況を見ているのではないのか。
あの2人は。
「…」
まだまだ沈黙が続く。
あぁ、もう駄目。
恥ずかしくておかしくなりそう。
そんなことを思っていると、芥辺さんが椅子から立ち上がった。
そして、私の方に近づいてくる。
え、あ…怒ってるのっ?!
どうしよう……殺されてしまうかもっ。
あー!!どうしようっ!!
逃げたい!この場からすぐに!!
芥辺さんは私の前で止まった。
ドカァァアンっっ!!
後ろを振り返ると、気絶しているアザゼルさんとバルゼブブさん。
ああああ!!
このままじゃ、私まで……っ!
そんなことを思っていたが、
ふわり、と何かが私を包み込んだ。
其れはすぐに分かった。――芥辺さんだ。
そして、
「………好きだ、」
私の耳元で、小さく囁いた。
(やばい。)
(胸が破裂しそう。)
2011.04.26