ただ何処に行くわけでもなく、ぼんやりと町を歩いていたときだった。
突然マントをひらり、とひらつかせ私の前に現れた人。
派手な服装で、ピエロみたいだ。
「あ、の…?」
「こんにちは、お嬢さん。」
「は、初めまして…。」
何なんだ?この人。
「あの…貴方は?」
「あぁ、これは失敬。名前を名乗るのを忘れていました☆
私の名前は、メフィスト・フェレス。」
「あ、私はなまえです。」
「素敵なお名前ですね☆」
「ありがとうございますっ。」
そんな他愛も無い話をしていた。
しばらくすると、メフィストさんは用事がある、と言って何処かに行ってしまった。
…ちゃんとメールアドレスを交換して。
いい人だなぁ、って思っていた。
だけど、後から友達から話を聞くとあの人は
悪魔だって分かった。
惚れてはいけない。
(あの人とは、)
(叶わない恋だから。)
2011.07