今日は久しぶりに、寿先輩とお仕事の打ち合わせ。
楽しみにしていたのに前の仕事が長引いてしまった。
遅れてしまう、と連絡はしたけれど……怒ってないだろうか。

心の中でそう考えながら、長い廊下を走った。
すると、打ち合わせの部屋から誰かが出て行った。
――寿先輩だ。

もしかすると、怒って帰ってしまうのだろうか。
不安になった私は急いで先輩の後ろをついて行った。
すると、意外にも先輩は喫煙室に入っていった。


「寿せんぱ……、」


呼びかけ部屋の中をのぞくと、そこにはタバコを吸っている先輩。
煙を吐くいつもはみない先輩の姿に、胸が高鳴るのがわかった。
――先輩はタバコも吸うのか。
じっと先輩を見ていると、こちらの視線に気づいたようだ。
にこ、といつもの笑顔で笑って、



…………………………………むせた。

先輩はすぐに火を消し、喫煙室から出てきた。
ふわりと少しタバコの匂いが鼻をつく。


「だ、大丈夫ですかっ?」
「ごほっ……、いやー、参っちゃうね。」
「……タバコ、吸われるんですね。」


私は先輩のことをまだ何も分かっていなかったのか、と1人感じ肩を落とした。
ああ、これはね……、と先輩が口を動かす。


「今度のドラマでタバコのシーンがあってね。1つ試しにもらって吸ってみたんだけど……。」


やっぱり難しいね、と言って笑った。
仕事、と理由があり少しホッとした自分がいた。
……でも……、


「吸われてるとき……かっこよかったです。」
「え?」
「え?…………え、あッ、」


私はいつの間にか声に出ていたみたいだ。
どうしよう。とっても恥ずかしい……ッ!!
自分自身でも顔が熱くなっていくのが分かった。


「……なまえちゃん。」
「ふぇ、すみませ……っん、」


名前を呼ばれ顔を上げると唇を塞がれた。
触れるだけ触れた唇は、タバコの味を残して離れた。


「せんぱ……っ、」
「まだ、タバコの匂いする?」
「っえ……はい。」
「じゃあ、君がキスして匂いを消して?」
「えぇッ!?」


ん、と唇を前に出す先輩。
人が来ます、と言っても聞く耳を持たず動かなかった。
これはもうするまで動かない、と思った私は仕方なく唇を合わせた。
――まだタバコの味がする。
もう1度だけ、そう思いキスをすると、いつの間にか後頭部を抑えられ離れられなくなった。


「んんっ……ふぁ、っ、」
「ん……はは、なまえちゃん可愛い。」


ちゅっとワザと音を立ててキスをした先輩。
私の顔は先ほどよりも真っ赤になっているに違いない。


「っもう……は、はやく打ち合わせをしましょう!」
「えー? もっと君としていたいなぁ。」
「だ、ダメです!!」
「んー……じゃあ、」


先輩は突然私の耳元に唇を寄せた。
そして、そっとささやく。


「仕事が終わってから……たっぷりと、ね?」


先輩は、いつも以上の笑顔をみせて笑った。








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