夏が始まろうとする暑いある日。
洗濯物を取り込んでいるとき、いきなり上の階から何かが落ちたような音が響いた。
そして騒がしく階段を降りる音が聞こえたかと思うと、その音はだんだんと私のいるところに近づいてきている。
すると、私がいた部屋のドアが勢いよく開いた。
「なまえ!!」
私の名前を叫んで入ってきたのは尽八だった。
入ってきたかと思えば、ズンズンと寄ってきて抱きしめられた。
その勢いで倒れそうになってしまう。
「ちょっ……尽八? どうしたの?」
「……どこかに行ってしまったのかと思った……。」
そう言って抱きしめる力を少し強める。
先程まで私と尽八は昼寝をしていた。
私は先に目が覚めてしまい、そして洗濯物の存在を思いだす。
取り込まなくては、と思って隣にいた尽八を起こさないように下へと降りていたのだ。
その結果、尽八はいきなり私がいなくなっていたことに驚いたみたいだ。
「心配したんだぞ。」
また腕の力を強める。
何故か、そこまで必死になっていた尽八に私は少し笑った。
すると彼は不満の声をもらす。
「なぜ笑っているのだ?」
「いや……私の旦那さまは、可愛いなって思って。」
「む。俺は、本当に不安だったんだぞ?」
「わかってる。」
背中に手をまわし、ポンポンと優しく叩く。
落ち着いたのか少し腕の力が弱まった。
と思ったら彼は私をひょい、と軽々と持ち上げたのだ。
いきなりのことでビックリして、しかも急に顔が近くなってドキドキしている私に、彼は真面目な顔で一言。
「昼寝の続きをするぞ。」
「え? でも、まだ……、」
「後でもできるだろう? それに、拒否権はないぞ。」
気づけば先程までいた寝室に。
ベットに優しくそっと下ろされる。
それと同時に、また尽八の腕の中に閉じ込められた。
今度は離れるなよ、と言って私の額にキスをした。