「はっ…、はっ、」
俺は今走っている。
全速力で。
何処に?それは駅に。
今日、久しぶりに会える奴がいるんだ。
なまえって言うんだ。
名前からして可愛いイメージが湧いてくるだろ?!
だって本当に可愛いんだからな!
…ちょっ、そんな目で見るな!
気持ち悪いみたいな目で見るなぁ!
グスっ…
……そんなこと話してたらもう駅に着いた。
キョロキョロと周りを見渡す。
なまえらしき人はいない。
まだ着いていないようだ。
…なまえとは小さい頃ずっと一緒だった。
だけど、親の都合で遠くに引っ越してしまったのだ。
そんななまえがこの季節、一週間だけ此処に帰ってくるのだ。
親の実家がこの街にあるから、其処に泊まりに来るのだ。
この日をどれだけ待ったか。
毎年、毎年。
この時が一番の楽しみだ。
もう一度、駅の入口をみると、
見つけた。
なまえを見つけた。
俺は駅の入口に走った。
走っていくよ。
(君に早く会いたいから。)
2011.12.28