「…今日は月が綺麗…。」
私、なまえはテラスに出て空を見上げた。
今日は満月。
何か不思議なことが起きそうな予感がする。
…だけど、それは私のところには来ない。
だって私はカゴの中の鳥だから。
生まれた時から一度も外に出たことがない。
そういう場所に生まれてきてしまったから。
運命というのは残酷だ。
…一度でいいから外に出てみたい。
自由になってみたい。
私は満月に向かってお願いする。
「私を此処から出して…。」
「そ〜の願い、俺様が叶えてあげようか?」
「っ?!」
何処からか男の声がした。
後ろに振り向くと誰もいない。
そしてまた前を向くと、
「っ「おっと。大きな声、出さないでね〜。」…」
前に男の人がいた。
私が大声を出さないように、男の人の人差し指が唇に触れている。
この人は…
しばらくすると彼は指を離した。
「こんばんわ、なまえ姫。」
「…どうして私の名前………!」
そこで私が気づく。
この人が誰なのか。
「ルパン――!」
「大当たりー!天下の大泥棒、ルパン三世!」
彼が何故、こんなところに…。
「…今からお仕事?」
「今から仕事。」
「今日は何を盗むの?」
「なまえ姫、さ。」
私は何がなんだか分からず、少しの間思考停止していた。
すると彼はふっ、と笑った。
「お姫様は此処から出たいんじゃないの?」
その願い、叶えてあげようと思って。
「でも…。」
お父様たちが心配してしまう…。
「…なまえを俺様がさらってもいいかい?」
「……連れてって、ルパン――。」
そう言うと彼は蔓延の笑みを浮かべた。
そして彼は私に手を差し出す。
「さぁ、お姫様。何処から行きましょうか?」
満月の日に
(貴方と一緒なら)
(何処までも)
20111125