「あ、」
練習の休憩中、暇だったから事務所の中を歩いていた。
ちょうどよく何処からか帰ってきた新人の広報を見つけた。
「なまえちゃん、おかえり。」
「持田さん、またサボりですか?」
「嫌だなぁ。今は休憩中だよ。」
多分、俺にこんな言い方できるのはコイツしかいない。
と言うか、絶対コイツだけ。
だけどそんななまえに俺は興味をもった。
「私はまだ仕事がありますから。それでは。」
そう言って俺に背を向けて歩き出した。
「ちょっと待ってよ。」
俺はなまえの手首を掴んだ。
その行動になまえはすごく嫌そうな顔をした。
「なんですか。」
「少しぐらいいいだろ?付き合ってよ。」
「本当に忙しいのでやめてください。」
「じゃあ仕事終わってからは?暇だろ?」
「嫌です。もう関わらないでください。」
なまえは俺の手を払って、事務所の奥の方へと歩いて行った。
つれない態度に、
(振り向かせてやりたいと思った。)
(ただそれだけ。)
2012.01.11