「ごめん。なまえのことは何にも思ってない。」
そう断られたのは、数時間前。
好きだった選手にふられてしまった。
何となく……ココロの何処かでは無理だと分かっていたと思う。
だけど…悲しい気持ちはおさまらない。
「っ…明日から……ど、しよ。」
そんなことを考えていると、声をかけられた。
声の主は、達海さんだ。
「よ。なまえ………って、泣いてんのか?」
この際、誰でも良かったのかもしれない。
誰かにこの話を聞いて欲しかった。
この気持ちを。
達海さんは私から一方的に喋っているだけなのに、
ただ傍に居て話を聞いてくれた。
それがすごく落ち着いた。
達海さんが傍にいてくれて……本当に落ち着いた。
全部話したいこと全部話し終わったら、達海さんは、
「そっか。ま…頑張れよ。」
と言って温かい手のひらで頭を撫でてくれた。
それがどれだけ私を安心させたか。
やさしいひと
(どうして貴方は、)
(そんなにやさしいの?)
2011.08.05