ザァ――…
さっきまで晴れていたのに雨が降ってきた。
「困ったなぁ…。」
不意にそんな声が聞こえた。
声のする方向へ行くと、なまえがいた。
「どうしたんだい?」
声をかけてみると、すぐになまえは顔をこちらに向けた。
「ジーノさんっ!」
「君…濡れているじゃないか。」
言ったとおり、髪や服までもが濡れている。
髪の毛から雫が落ちる。
「いやぁ、買い出しに行っていたら帰りに雨が降ってきちゃって…。」
だからか…と僕はなまえの髪を触った。
くしゅん、となまえはくしゃみをする。
「大丈夫かい?」
「はいっ。大丈夫ですよ。」
「………一応これでも着ておきなよ。」
僕は自分の着ていたジャージを彼女に着せた。
「わわっ、いいですよ!申し訳ないですし…。」
「いいんだよ。僕がそう言ってるんだから。」
ね、と言うと彼女はおとなしくなった。
「すみません…。洗って返します。」
「いいよ。風邪ひかないようにね。それと…、」
彼女に近づいて耳元で囁く。
「服が透けてるから、気をつけてね?」
意地悪っぽく笑って言うと、なまえは顔を真っ赤にさせた。
(なまえの姿にムラムラしたなんて…)
(とても言えないね。)
2010/12/13