「…もう、見えなくなっちゃうんだよね。」
「……あぁ。」
なまえはうつむいた。
表情は分からないが、多分泣きそうな顔をしているのだろう。
「…泣くなら今泣けよ。」
「っ…泣かないもんっ!むしろ、一護に会えなくなるから喜ばないと!」
知っている。
なまえは正直になれないことがある。
今がそのときだ。
そんなところももう見えない。
そうなると、自分でも悲しくなってくる。
俺は、気づけばなまえを抱きしめていた。
少し消えかかっているなまえを。
「っ……い、ちごぉ…。」
「なまえ…っ、!」
なまえを見ると、下半身がもう消えていた。
もう時間はない…。
俺はなまえと向き合った。
「っ…一護…?」
「――またな、」
そう言って、なまえにキスをする。
触れるだけの短いキスをして、なまえともう一度向き合った。
「一護…。」
「絶対にまた会える。信じて待っていてくれ。……いいな?」
「っ、うん!」
俺はその言葉を聞いて、もう一度だけなまえにキスをした。
目を開けると、もう目の前には誰もいなかった。
「……じゃあな、」
またいつか。
(絶対会おうね。)
(待っているから。)
2011.12.13