朝から私は不機嫌だ。
何故なら…
「浦原隊長っ!」
「お誕生日おめでとうございます!」
そう、今日は喜助の誕生日なのだ。
それでプレゼントを、と渡しに来る女隊士が喜助を囲んでいた。
それにむかついてもいるし、囲まれちゃってデレデレしてる喜助にもむかついてきた。
私も忘れていたと言う訳ではなく、周りに人が多すぎて渡せないのだ。
「…はぁ、」
ため息をついて私はその場から離れた。
「はぁ…、」
「どないしたんや?」
「……平子隊長…。」
「さっきからため息ばっかしてるで?」
顔を机に伏せていたら頭を撫でられた。
「…いろいろあるんです。」
「そうか。いろいろあるときで申し訳ないけど、これ喜助のとこに届けてきて。」
…何と言う嫌なタイミング。
「…私じゃないといけませんか?」
「そやなぁ。藍染も忙しそうやし。」
「…分かりました。」
私は渡された書類を持って席を立った。
「失礼します…。」
「あ、なまえさん。」
部屋に入ると、喜助がプレゼントの山に埋もれていた。
「…大丈夫ですか?」
「いやー、このプレゼントの山…どうしましょうかね。」
そう言って、頭をかきながら私の方にやってきた。
「で、どうしたんスか?なまえさんもプレゼントくれ…」
「書類を届けにきました。どうぞ。」
素直になれない自分にむかつく。
素っ気なく渡すとニッコリと笑って受け取った。
「…1番、貴女のを楽しみにしていたんスよ?」
「…え…?」
「ないんスか?」
「…」
と、言っても今は渡すつもりはなかったから部屋に置いてきてしまった。
どうしようか、と考えるといいものが浮かばなくて。
「…喜助、」
「はい?」
一か八かでやってみることは思いついた。
「!」
私はおもいっきり背伸びをして喜助にキスをした。
すぐに離れて顔をうかがうと、珍しく真っ赤になっていた。
「…今、プレゼントないから…その、」
「ありがとうございます。」
そう言ってまたニッコリと笑った。
貴方のが、
(1番嬉しいプレゼント。)
2010.12.31