「あ。」
遠くに歩くなまえを見つけた。
今日は休みの日なのだろうか、友達らしき女性と仲良く話して歩いている。
俺はあいつの姿を目に追う。
……なんていうか、
「あいつ、なんか、可愛くなったよなぁ。」
つい言葉が漏れてしまったようだ。
隣りにいたヅラが不思議そうな顔をしている。
「……恋でもしたのか?」
「ふむ。なまえ殿はそんなに変わったのか。」
あいつの仕草、笑顔、声――すべてがいつもとは違うように見えた。
少なくとも俺にはそう見える。
俺の考えていることが分かったのか分かっていないのか、横の男は首を傾けた。
「俺には変わっていないように思うが、……もしかして、恋をしたのはお前の方じゃないのか?」
その言葉が納得したかのように、俺の心に響いて、はっと目が覚めたようだった。
まだこの気持ちに名前はつけない
(君にあって確かめるまでには。)
2018.09.11