「なまえ、」
不意に後ろから名前を呼ばれる。
振り向くと、そこには夫――土方歳三がいた。
「どうしたんですか?」
土方さんの近くによって話しやすいようにする。
…さっきからずっと黙っている土方さんの顔をうかがう。
「…あの…、」
「なまえ…。」
もう一度呼ばれる。
それに私は、はいっ、と返事をする。
「お前は……今、幸せか?」
私は、正直…驚いた。
こんなことを聞かれるなんて。
「え…どうしてですか?私は、幸せですよっ?」
「……そうか。」
そう言うと土方さんはふわり、と口角を緩めた。
…土方さんの言いたいことは、大体分かったような気がする…。
自分について来てよかったのか…。
昔、何度も聞かれたような気がする。
私は……幸せですよ?
貴方といれれば、私は他に何も要らないんです。
貴方さえ、傍に居てくれていれば…。
la recherche de bonheur et
(幸せを捜し求めて。)
(幸せなら、今目の前にありますよ。)
2010.09.14