休憩中、お香さんと喋っていたら携帯が鳴った。
画面を見てみると「大王さま」の文字。
またかと思いながら通話ボタンを押した。


「もしもし。」
「なまえくん? あのさぁ、申し訳ないんだけど、急いで来てくれないかな?」


分かりましたと一言伝えて通話を切った。
お香さんに目線を合わせると電話の内容が分かったようで、いってらっしゃいと微笑まれた。
それが合図だったかのように私はその場を後にした。









「あー、なまえくん、来てくれてよかった!」


いつもごめんねーと大王さまに謝られる。
大丈夫ですよと一言言って、大王さまの隣に寝ている彼のところに足を進めた。


「鬼灯くん、今日で三徹だったみたいでさー……。」
「うわぁ……いつも通りですね。」


私は鬼灯さまの顔を覗き込んだ。
大きな隈を作って死んだように寝ている。
これは毎回のことで、徹夜が続いた鬼灯さまが業務中に寝てしまいそれを迎えに来るのが私の仕事のようになっている。
彼は少々無理をしすぎるところがあるから、いつも心配している。
……しかし、寝ている時の彼の顔はとても可愛らしい。
死んでも本人が起きている前では絶対に言えないけれど。
彼の肩を揺すって声をかけると、薄らと目を開いた。


「鬼灯さま、自室に行きましょう?」
「なまえ、さん?」


彼は眠たそうな顔をして目をこすりながらフラフラと立ち上がった。
しかしまだ寝ぼけているのか、こちらに向かって倒れそうになった彼を支える。
そのまま鬼灯さまが私の背中に手を回して抱きしめた。


「っ鬼灯さま?! ちょっ、みんな見てます、から……ッ!」


そう言っても彼は手を離すどころか、先ほどよりも力を入れて抱きしめてきた。
いつもはこんなことしないのに。
二人だけの時でもあまりこういう事はされなくて、何だか新鮮に感じてしまう。
そして耳元で優しく名前を呼ばれ、体が反応してしまう。


「なまえさん……大好きです。愛してます。」


ちゅっと軽く唇にキスされた。
そして鬼灯さまは私の肩に頭を乗せると、またそのまま寝てしまった。
私は顔が赤くなっていくのを感じながら寝てしまった彼にバカとつぶやいた。


そのあと、周りにいた人達にからかわれて恥ずかしい思いをするのは、また別のお話。



2015.03.24




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