「鬼灯さま、大嫌いです。」

「……は?」


鬼灯さまは目を丸くした。
しかし、すぐにいつもの顔に戻り口を開いた。


「私もです。」

「……そうですか。」

「はい。貴方にはいつもうんざりしてますよ。
資料をバラバラにしてしまう、なくしてしまう……。

本当に、貴方は何が出来るんですか?
貴方がいなくても、支障はありませんよ。」


そこまで言うと鬼灯さまは言うのをやめた。



「……これで満足ですか?」

「うー……。鬼灯さま、意地悪です……っ。」


私の目からは、いくつか涙が流れ出ていた。
あれだけ言われれば、誰だって泣いてしまうだろう。

ぽんっ、と頭に鬼灯さまの手が置かれる。
そして軽くなでられた。


「エイプリルフール……貴方から仕掛けたのですから、しっかりしてくださいよ。」

「私が頑張って、鬼灯さまに何か言ったって……何も変わらないですよ。」

「そんなことありませんよ。」

「…じゃあ、さっき傷つきました?」

「……それなりに。」


そう言うと、鬼灯さまは目をそらした。

……珍しいものが見れた、エイプリルフールでした。


2012.04.01





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