気がつけば目の前には大きな川。
これが三途の川、というものなのだろうか……?
私はついさっき車に轢かれそうになり、目を瞑ってしまい真っ暗になり、気がつけば目の前に川。
――簡単に言えば、死んでしまったのだ。
人生、あっけない。
「……どこにいけばいいんだろ。」
「そこのお姉さーん。」
あたりをみまわしていると、小さい男のに話しかけられた。
可愛いな。
弟にしたい。
「お姉さん、裁判受けた人?」
「今さっき目が覚めたの。」
「ならこっちにきて。あの船に乗って裁判を受けに行くんだよ。」
男の子は丁寧にそう教えてくれた。
そして私は言われた通りに船に乗った。
少しすると船が止まった。
どうやら到着したみたいだ。
「次のものを。」
その一言がきこえ私は大きな扉をくぐった。
そこにはとても厳つい人がいて、
「……閻魔大王?」
「違うッ!!」
閻魔大王みたいな人はため息を1つついて私をみた。
「……交通事故、か。」
「特に悪い行いもありません。天国行きで大丈夫かと思います。」
大王さんの隣にいた小さい天パの男の人がそう言った。
「私、天国ですか?」
「そうだな。……何か不満でもあるのか?」
「……天国よりも地獄がいいです。」
天国は退屈そう、と呟けば2人は目を丸くした。
すると大王が笑った。
「珍しい奴もいるものだな。いいだろう。この手紙をもって閻魔大王のところへ行くといい。」
「え……閻魔様って貴方じゃ……。」
「違うわッ!!」
とりあえず私は言われたとうりに手紙を持っていった。
そこにはさっきより全然優しそうな人だった。
しかもさっきよりあきらか大きい。
この人が閻魔大王……?
「あの、これを渡してくださいと。」
「うむ。鬼灯くん取ってくれるかな。」
「ご自分で取ってください。」
「ヒドイ!!」
「……」
なんなんだこの人たち。
私はそう思いながらも鬼さんに渡した。
「……この方、地獄がいいらしいです。」
「えぇっ、珍しい。天国行きなのにねぇ……。」
どうしよう、と閻魔大王が悩んでいる。
そこに鬼さんがあ、と声を漏らした。
「地獄で働いていただくのはどうでしょうか。丁度人手が足りないところがあります。」
「そうだね、じゃあ、そうしてもらおう。」
それで大丈夫?、と閻魔大王は私に聞いたので、私は頷いた。
2012.12.21