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▼寒い日の

秋も深まり、日中でも肌寒さを感じる季節。
暑さから解放され暫くはエアコンの世話になることも無いだろうと思って過ごせたのも、僅かな期間だけだった。
マンションの下から、自宅の明かりを確認した跡部は、自分を待つ暖かな部屋へと急いだ。
しかし。
「外と大して変わらねぇな」
玄関を過ぎて開いたリビングは、外出する服装でないと寒いくらいで。
「…居ないのか?」
リョーマが電気を点けたまま出掛けたのかもしれない。
出掛ける予定は聞いていなかったけれど、コンビニあたりに気紛れでフラッと出掛けたのだろう。
すぐに戻るなら部屋の明かりより、エアコンを点けて行けば良かったものを。
どうせ薄着で出掛けたに違いないリョーマに溜め息を溢しながら、跡部は空調の温度を普段より高めに設定した。

その十数分後、帰宅したリョーマが冷えた身体で寒いと抱きついてきて跡部は声を荒げる。
「跡部さんあったかい…」
「冷たい身体で俺に近づくんじゃねぇよ!滅多に自分から触ってこねぇくせに!」
折角温まってきたというのにこの野郎。
寒いと非難しながらも、跡部が振り払えないことをリョーマが知っていて。
「ったく、世話が焼ける」
僅かに震える肩を目にしてしまった時点でこちらの負けは決まっていた。





 

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