夜ご飯


最近、なまえは痩せてきた気がする。
オレは自分の皿にあった鶏肉を切り分けてなまえの皿にのせた。
なまえはあー!と声をあげた。

「こらー!なんで入れるの!!」

「いや…食べたそうな顔してたから。」

「えっ、嘘、そんな顔してる…?!」

なまえは驚いて頬をつねっていた。
オレは笑いながら冗談だ、と言えば
当たり前のようになまえは拗ねた。
けれどやはり肉に手をつけようとはしなかった。
食が進まないのだろうか、少し心配になって思わずだった。

「なまえ、」

「ん…?なに、ってええっ、シュート?」

「……ほら、」

右手でフォークを持って鶏肉を差し出した。
自分でも恥ずかしいが、無理やりに食べさせたくはないし、
オレも、若干興味があったので

「…あーん、だ。」

頑張った。この数週間、今までの人生で
したことがないことばかりだったが
中でもこれは二度としないだろうと思った。
恥ずかしさでなまえの顔が見られずにいると
なまえは急に吹き出して笑っていた。

「あ、あーんだってなにっ…!!
しかも、めーちゃ恥ずかしがってるじゃん…!あっはは…!」

「う…うるさい、もうやらない…!」

「あっ、嘘ですごめん待って待って、
あーんを甘んじて受けたいです。」

「なんだ、あーんを甘んじて受けるって…」

なまえはオレの右手を掴んでフォークを制止させた。
それから先の鶏肉をゆっくりと頬張って
フォークから連れ去った。
なんだかその様子に不思議と心臓が早鐘を打ったので
誤魔化すように次の鶏肉をまた差し出した。

「ん〜甘やかされてるって感じがしてね、これだったら入る。」

「そうか…なら、良かった。」

「最近、あんまり食べなくなったから心配してくれたんでしょう。」

「……ちがう、なまえが太るのを待ってるだけだ。」

「?!」

「なんだ、その顔」

なまえが驚いたような嫌がっているような
見たことない顔をしたので思わず笑った。
食べてる姿が可愛かったので、もう一度
オレはスプーンを手に取った。




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