新しい豊和の世界へ

めぐる、めぐる


まえもくじ|おわり




白い屋根と白い壁の家々、
そこら中で自生する柔らかな綿花たち。
 
一つの家からは、今日も生活を表す煙が煙突からたなびいていた。
 
「今日の献立は?」
「ロウエンさんの好きだったのんべえの酢の物、ティント風バーグに、ゲオルグさんの好物のプリン」
「ああ、今日はそれか、じゃあもうすぐ恐怖の肉料理週間がやってくるな」
「それを過ぎたら、グレミオさんの特製シチューですよ」
 
二人は同じ食事をする。
その日の故人の好物を食卓に並べ、慈しみ、思い出を語る。
いつまで続くのだろう、それはいつまで。
 
豊かで和やかな世界に、終わりを求めるものはいない。
 




まえもくじ|おわり
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -