滑稽な平行世界論理

滑稽な未来予想図-03-


まえもくじつづき



弟は、一族の誰よりも成長が遅かった。それだけに、見える世界も周りと違っていたのだろう、
一族の閉塞感に嫌気が差して、村を飛び出してしまった。
しかしそれは彼にとっては幸運だった。
そののちに村はハルモニアに襲撃され、レックナートとウェンディの二人だけがからくも逃げ延びたのだから。


ウェンディは生き残っているはずの弟を捜し始めた。すさぶ心を元気づけたのは、まだ一族の生き残りが居るという事実だったからだ。


しかし、彼は宿敵であるはずのハルモニアの貴族と恋に落ちる。
つきとめたウェンディは怒りに狂い、弟を殺してしまった。


没落しかけていた恋人の一族も、すべてを歴史から葬り去った。
全てを投げ出して子供と逃げた恋人を残して。


同胞をあやめた事実が冷静な心をさいなみ、ウェンディはハルモニアから遠く離れたグレッグミンスターに体を落ち着けた。それでも罪の意識は彼女から消えることはなく、ゆっくりと、その心を狂わせていった。


こうして時の解放戦争へとつながっていく。



×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -