いつもの夢


まえもくじつづき




今日も僕は夢を見ている。
大切な兄弟と喧嘩をする夢だ。
 
 
 
僕は兄弟が好きだったし、それは向こうも同じだと思っている。
ふたりでひとつの僕らなのだから、ずっと何も変わらないと思ってた。
 
なのに兄弟は、僕よりもずっと泣いている人のそばへ行ってしまう。
泣いている人を慰める兄弟の姿はとても綺麗だけど、僕は気に入らない。
すごくすごく気に入らない。
 
君は僕のものなのに!
 
だから僕は兄弟に言ってやった。
 
君は一人じゃ何もできないから、僕のそばから離れちゃダメだ。
 
そうしたら兄弟は、僕は一人でも大丈夫だよと言ってきた。
 
そんなことあるはずがない。
君は守ることしか出来ないもの。
どんなに間違えたものに出会っても、慈しむことしか出来ないもの。
君が傷つかないように、僕が判断してあげるんだ。
君を傷つけるものは僕が傷つける。
 
そうやって残るのは僕と兄弟だけなのだから、
だから離れちゃダメなのに。
 
なのにどうして兄弟は怒っているの?
僕は誰にも傷つけられないって泣きながら言っているの?
どうして分かってくれないの?
泣いている人がそんなに大事なの?
僕のほうが大事に決まってるのに!
 
そうやって僕は剣を振りかざし兄弟に切りつけた。
僕たちふたりは、同じように粉々になった。
泣いている人の涙はとうとう止まらなかった。
 
僕は粉々になった兄弟にあるはずもない手を伸ばし抱きしめる。
ごめんね、いたかったよね。だいすきだよ。ずっとずっといっしょだよ。
 
 
 
僕は目を覚ます。
世界の始まりの神話をもじったようなその夢は、
僕に同調と嫌悪感を求めてくる。
汗ににじんだシーツを抱きしめ、ベッドから降りるとカーテンを開いた。
 
どこまでも黒い闇に白銀が瞬いている。
 
朝になればユニコーン少年兵部隊の遠征。
この家とも当分離れることになる。
でもその代わりに、得られるものはたくさんある。
 
守れる力を得るために。
 
僕はカーテンを力強く閉めると、乱暴にベッドにもぐりこんだ。


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