冬の某日
「えっ、どうしたの零時!」
梶井の家のドアが開く。間から顔を出した梶井は、ゴーグル越しの目をこれでもかと言うほど見開いている。
「えっ、何か変かな?」
一応家を出る前に身だしなみは確認して来た。その時はもちろん完璧とまではいかないもののこんなに驚かれるほど酷い風貌だった訳ではなかった。
「変かな、じゃないよ!鼻真っ赤だし、すごく寒そう……ほら、手もすごく冷えてる」
ぴたりと触れられる手。じんわりと熱が伝わって来る。
「どうして僕を呼ばなかったのさ。電話してくれればすぐ迎えに行ったのに」
「だって、仕事忙しいと思ったから…最近立て込んでるみたいだったし」
本当は今日お邪魔させてもらうのも少し気が引けた。勿論梶井には会いたいけど、迷惑になりたい訳じゃない。
「…次からは、僕を呼んで。君が寒い思いをして一人で来るなんて、僕は耐えられないから」
梶井は過保護だなぁ、と漏らすと、誰のせいだと、と呆れ顔が返って来た。梶井になら世話を焼かれるのも悪くはないかなと思いつつ、梶井の手の熱を感じていた。
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私が書く梶井さんは過保護な場合が多い(なぜ)
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