敵わない
「わたし、団長の事が好きです」
実はこれが初めての告白だったりした。
何て言おうか、今日までずっとずっと考えていたりした。
心臓の音がうるさくて、頭がおかしくなるんじゃないかと思ったりもした。
「そうか」
私のここ数ヶ月返せ。
そう怒鳴りつけてやりたいくらい薄い反応。隣に住んでるおばさんが新しいテレビ買ったんですって、と言われた時の反応並に薄い(分かりにくい)。
「あの、返事は」
「NOだ。俺には何よりも大切な妻がいる」
「でも」
「でもじゃない。それに君のその好意は一時の憧れに過ぎないだろう。どうせすぐに薄れる」
「そんな事ないです、私団長に奥さんがいるのだって知ってたし、諦めたかったし、この気持ち気付かないふりしてずっと過ごしてて…」
だからだからだから。
言いたい事は沢山あったのに、言葉が詰まって出て来ない。鼻がツンとする。
「君も俺のように自分の身を投げうってでも守りたい存在を見付けるといい。君の幸せを願っているよ」
嘘つき。
あんたなんか嫌い。
どうして私じゃないの、とは言えないまま、私は去りゆく初恋と団長の背中を見つめていた。
わたし今きっと酷い顔してる。
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フィッツさんの愛妻家オーラをもっと出したかった…
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