直視





「古橋くんがかっこよすぎて10秒以上直視出来ない」


「それを俺に言ってどうしろと」


目の前のザキが呆れたように此方を見た。
本人には言えないから、何となく言っただけだ。
本人に言えば、それこそ呆れられてしまう。
するとザキが此方へ腕を伸ばす。
ガッチリ顔を固定されて、後ろからザキが呟いた。


「10秒耐久。」


ふと前を見ると、視線の先に古橋くんの姿。
かっこいいやら恥ずかしいやらで、顔が熱くなる。
すると何やら古橋くんは此方へ歩み寄ってくる。
無理無理無理無理、これ以上直視したらおかしくなっちゃう!
すると古橋くんは私の顔に添えられたザキの手を強引に剥がした。


「近すぎやしないか。」


どうしてそんな事を気にするのだろうとか、言いたい事は色々あった。
けれど古橋くんを前にすればそんなの全て吹き飛んでしまって、私はただ、このまま古橋くんを直視してたら恥ずかしくて死んじゃうな、と火照った頭でぼんやり考えていた。

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何を隠そう、10秒以上直視出来ないのは私で御座います。

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