遺伝子レベル



「零時、何してんの。」


のしっ、

彼が私の頭に体重をかける。
すると中々の重さと共に、薬品の匂いが漂った。


「本読んでるの。
見て分からない?」


なんて意地悪に言えば、分かるけどさ、と返される。


「それより、梶井何か変な匂いする」


「えっ、ほんと?
さっき使った薬品かも。」


「でも、何か梶井の匂いだと思うと嫌じゃない。」


すんすん、と鼻を寄せる。
相変わらず薬品の香りが漂った。


「人間って、遺伝子の違う他人の匂いに惹かれるんだってさ。
フェロモンの関係がどうとかで」


「じゃあ私、遺伝子レベルで梶井に惹かれてるんだ」


普通なら嫌な薬品の香りも、こんなに心地良い。
きっと梶井に会う前の私が見たら、莫迦じゃないのって笑うだろうね。


「すきだよ、」


「ぼくも。」


私の身体からも、いつかこんな薬品の香りが漂う様になるだろうか。
何故か嫌じゃない。
楽しみにしている私がいるのだ。







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最近梶井さんばっか書いてる気がする。

…檸檬ほしい

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