your special





「何度言えば分かるのか、お前は俺に買収されているのだぞ」


「だから、何度も断ってるでしょ。
私はお金で買えるほど、安くないってこと」


「お前みたいな娘一人買うのに、一体幾ら提示したと思う?
我ながら吃驚だ。」


「私だって吃驚したよ。
あんな額、普通手に持つ事もないだろうから」


「だろう?
なのに、何故買われないのだ。
一体幾ら提示すれば、お前の心は動くと?」


「だから、幾ら提示されたって、私は自分を売らないよ。
そんなに安くないもん、わたし」


「…ほう、全く変わった奴だ。
俺が直々に出向いているのに、門前払いとはな。
しかも金には靡かないと来た。
つまらん奴だと言えば其れ迄だが、面白いと言えば中々に興味深い。」


「だって貴方、お金を出せば何でも買えると思ってるでしょ。
きっと今迄もそうだったんだろうけど。
私はね、そんな被害者の中の一人になんてなりたくない。
貴方にお金で買われた女の一人になんて、なりたくないんだよ。

分かるかなぁ、私はね、貴方の特別になりたいんだってこと。」


「分からん筈がないだろう。
何故なら俺も、お前と同じ事を望んでいたのだから。」




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フィッツさんは意外と分かり易そう。
(意外でもないかな?)

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