28

リイから受けた外傷も医療班の活躍によって早々に完治し、ほぼ健康体に戻っていた我愛羅は、試合に備えた最後の検診を受けるため、木ノ葉病院の待合室にある椅子にじっと腰掛けながら、静かに物思いにふけっていた。
院内という事で人の声も少なく、静まり返った待合室では、据えてある柱時計の針が進むカチカチという音がいやに耳につく。我愛羅は膝に肘をつき、指を組むとそっと目を閉じた。

(何故だ…)

瞼の裏に焼き付いた姿が、時計の音と共に鮮明に蘇る。

傷付いた仲間を抱きしめ、睫毛を伏せたリイ。
対峙した我愛羅に、勝気そうにウインクして見せたリイ。
不敵な笑みを浮かべ、真っ向から向かってきたリイ。

その姿を思い出す度に、我愛羅の腹にはざわざわとした感覚が広がり、居ても立ってもいられないような焦燥に襲われた。
服の上から胸を掻き毟るように手を這わせた我愛羅は、襟を強く掴むとぐっと歯を食いしばる。落ち着かない。我愛羅は、すっと立ち上がると、ふらふらとした足取りで待合室を出て、病院内を歩き出した。

(あの時殺し損ねたからか…)

階段を上りながら我愛羅は己の掌を見つめ、指をわなわなと震わせる。
あの時のリイは、度重なる技の負担によって身体が限界を迎えていた。我愛羅自身も受け続けたダメージにより限界に近かったが、到底攻撃を避けられそうもないリイを殺すのには、指を一本動かして砂を操れば事足りる筈だった。
確実に殺せる―――。動いた砂を見て目を見開いたリイの瞳に、己の姿が映り込んでいるのを見た我愛羅は、高揚した気持ちのままに砂を操った。
向かい合う彼女は今、自分だけを見ている。そう思うと、自然と胸が高鳴った。その瞳に己だけを映したまま、砂で握り潰して殺す。そうする事で、相手に己の存在を永遠に刻み付けてやると―――。

だが、それは叶わなかった。

リイを守るように立ちはだかったガイの姿がフラッシュバックし、我愛羅は唐突に頭に走った痛みに呻き声を漏らす。

「くっ…!」

振り返ったガイに、心から安堵したような表情を浮かべて力を抜き、戸惑う事なくその体を預けたリイ。言葉を必要としない信頼と絆が、彼らの間には存在した。
我愛羅はギリギリと歯噛みしながら、頭の中からその光景を追い出そうともがく。

(何故…、何故…!!)

理解できない感情。

髪を掻き乱した手をそのまま壁にぶつけた我愛羅は、ずるずると壁を這った。
忘れようとすれば忘れようとする程に、繰り返される光景。
焼けつくように心臓が痛い。呼吸が乱れ、額から冷や汗が伝う。

(何故こんなにも、苦しい…!?)

―――ふと、苦しみに喘ぐ我愛羅の足が止まった。ぶれる視線の先に掲げられた簡素なプレートに印された名に、自然と我愛羅の手が伸びる。
『ロック・リイ』。その名を指でなぞった我愛羅は、閉ざされた病室のドアに手をかけた。
するりと横にスライドさせれば、何の抵抗もなく開く扉。我愛羅の視線がゆっくりと、病室の中で眠る少女の姿を捉える。ベッドから覗く、点滴に繋がれ、包帯で巻かれた手首が痛々しい。
足音を立てず、その傍にそっと歩み寄った我愛羅は、白いシーツの中で静かに眠るリイを見下ろした。

陶器で出来た人形のように緩やかな線を描く白い貌は長く眠った事によって幾分か蒼褪め、その頬にかつて向かい合った時のような健康的な赤みはない。ゾクっとする程色づいた唇だけが、白で統一された空間の中で一際妖しく、我愛羅の目を引いた。
思わず覗き込むように顔を近づければ、我愛羅の吐息でその長い睫毛が震える。

――美しい。

ただ、純粋にそう思った。

我愛羅はそっと顔を上げると、もう一度横たわるリイの姿を眺め見た。規則的に水滴を滴らせる点滴の管が繋がる手首は細く、我愛羅が握ればすぐにでも折れてしまいそうな程に儚い。細く浮いた血管の下に流れる血潮の色はどんなに美しいだろうか。湧き上がる甘美な衝動に、我愛羅の心臓が脈打つ。耳につくその音に、我愛羅はクッと目を細めた。
右手をゆるゆると持ち上げ、規則正しく上下する胸の上に、すっと手を翳す。

己の胸を掻き乱す原因。

(忌々しい)

それは今までに感じたこともない程、不安定な感情だった。
リイの事を考える度、思考が乱され、胸に痛みが走る。突如我愛羅の瞳孔が開ききり、その両目がリイの白い喉元へと焦点を定めた。
リイの存在が、己の存在を脅かす。
それならば―――。

(…殺してやる)

リイを殺せば、この痛みを消す事ができる。我愛羅はそう結論付け、背負った瓢箪の栓を砂に変えた。

―――今なら殺せる。今度は、逃さない。

瓢箪から漏れ出した砂が、窓辺に飾られた水仙の花弁を揺らす。
まずは砂で頸を絞めよう。細い首筋に砂が食い込み、瞳が苦痛に開かれる瞬間を想像するだけでゾクゾクとした感覚が我愛羅の背筋を這った。
その瞼の下の瞳に己の姿を刻み付け、恐怖のままに頸を折る。噴き出した血は今までに浴びてきたどんな赤よりも美しいだろう。
我愛羅は恍惚とした表情を浮かべ、翳した手の指にそっと力を込めた。

砂が蠢く。しかし次の瞬間、我愛羅は目を見開いて動きを止めた。

―――いや、違う。止められたのだ。
力を込めても動かない腕がブルブルと震える。体が動かない。

何が起こったのかを理解する前に、我愛羅の頬を鈍い衝撃が突き抜けた。

「てめー!!こんなとこで何しよーとしてんだ、コラ!!」

殴られた頬から砂の鎧が剥がれ落ちる。動かす事の敵わない身体をそのままに、我に返った我愛羅は視線を動かした。気配は二人。どちらも自分と同じ下忍、試験の時に見た顔だ。
どうやらリイを殺すことに夢中になりすぎていた為、己に近づいていた二人の存在に気が付かなかったらしい。我愛羅は自身の迂闊さに内心で舌打ちをした。これまで数々の手練れの暗殺者を葬ってきた己が、実力も格下の下忍程度を間合いに踏み込ませ、あまつさえ身体の自由を奪われるなど、これまでには在り得なかった醜態だ。
我愛羅は立ちはだかったナルトとシカマルを感情の抜け落ちた目で見据えた。二人は未だ眠ったままのリイの身体に怪我がない事を確認すると安堵の溜め息をつき、警戒を強めた目で我愛羅を睨み付ける。

「女の寝込みを襲おうだなんて、テメー、それでも男か」

眉を寄せ、険しい顔で我愛羅を睨むシカマルが吐き捨てる。続いたナルトの「一体何しようとしてたんだってばよ!!」という言葉に、我愛羅は感情の籠らない声でただ一言、「殺そうとした」とだけ答えた。
さもそれが当然の事であるかのような我愛羅の口ぶりに、ナルトとシカマルは息を飲む。二対一、それもシカマルの術によって拘束されている状態だというのに、我愛羅は冷静なままだ。
考えるまでもなく、答えなど最初から分かり切っていた。予選であれだけの力を見せつけ、上忍達ですら度肝を抜かれた程の戦いを繰り広げた我愛羅にとっては、ナルトやシカマルなど取るに足らない鼠のようなものなのだろう。シカマルの額を汗が伝う。

「…何でンな事する必要がある?試合ではテメーが勝っただろ!…こいつに個人的な恨みでもあんのか?」

確かに我愛羅は試合中、リイに散々辛酸を舐めさせられていたが、それは試験の一環であり、一対一の公平な勝負の中での事だ。
恨みっこなしは暗黙の了解―――。そんな事は、相手も重々承知している筈。
では何故、今この時に。試験中とはいえ、他里の忍はそこに居るだけで警戒される。ただでさえ居心地が悪いであろう今、里内で揉め事を起こすのは我愛羅とて本意ではない筈だ。

「恨み…?…そんなものは無い」

我愛羅は抑揚のない声で、対峙するシカマルの言葉を否定した。
凍てついた瞳がぎろりとシカマルとナルトを捉え、ぴくりと二人の肩が動く。


「ただオレが殺しておきたいから殺す。それだけだ」


我愛羅のあまりに勝手な言い分に、ナルトはとうとう怒鳴り声を上げた。
「ろくな育ち方してねーだろ。自己中だな」というシカマルの言葉に、我愛羅は眼光を鋭くさせる。
何とか穏便にこの場を収められはしないかと思案していたシカマルも、流石にこれにはお手上げだった。
同じ言葉を喋っていても、その思考、価値観があまりにも違いすぎる。というよりも、人として大切な何かが、我愛羅には欠けていた。とても話が通じるような相手ではない。となると、いくら交渉した所で無駄というものだ。

こいつはマトモじゃない。

面倒くさい状況になった、とシカマルは頭を掻いた。
ともかく、我愛羅をこの病室から出さなければ。身動きの取れない怪我人が寝ている部屋で戦闘を始める訳にはいかない。

「まあ待てよ。とりあえず―――」


「オレの邪魔をすればお前らも殺す」


我愛羅を宥めようと両手を上げたシカマルの動きがそのまま止まった。ゾッとする程、本気の殺意を感じる声。
シカマルは食って掛かろうとしたナルトを、間一髪、腕を突き出す事によって止めた。間合いに踏み込めば、確実に殺されていただろう。そろそろと動いた砂が我愛羅の周囲を漂う。

まるでバケモノのようだ。二対一などハンデにもならない。その格の違いを―――今、真正面から見せつけられた。

到底、勝てる相手ではない。シカマルの目元が引き攣る。
しかしナルトはそんなシカマルの制止を無視し、「オレは本物のバケモノを飼ってる。こんな奴には負けねえ」と呟くと、キッと我愛羅を睨み付けた。
何の事だ、と訝しげに眉を動かしたシカマルの正面で、『バケモノ』という言葉に神経を逆なでされたのか、我愛羅の眉間に皺が寄る。

「バケモノか。…それならばオレもそうだ」

母親の命を奪い、砂の化身をその身に取り憑かせて生まれたバケモノ。我愛羅の言葉に、察したシカマルの口元が引き攣った。
生まれる前に取り憑かせる憑依の術。そこまでしてこんな奴を生み出すとは、砂の里も相当な闇を抱えているらしい。あまり他里の事情に首を突っ込もうとは思わないが、そうしてまで己の子を強くしようとするとは。そんな親の行動を「歪んだ愛情」と評したシカマルに、我愛羅は忌々しげに眼を細めると「お前達の物差しでオレを測るな」と吐き捨てる。
家族。それが我愛羅にとってどんな繋がりであったのか。

憎しみと殺意で繋がる、ただの肉塊。

風影の子、里の最高傑作として生まれた我愛羅は、その過ぎた力を恐れられ、実の父親の手で幾度となく暗殺されかけてきた。
憎しみに歪んだ顔でそう言った我愛羅に、ナルトとシカマルは息を飲んだ。


「オレは奴らにとって消し去りたい過去の遺物だ。ではオレは何のために存在し、生きているのか?―――そう考えた時、答えは見つからなかった」


静かに発せられたその言葉に、ナルトの動きが止まる。呼吸の仕方を忘れてしまったかのように喉がひくりと痙攣し、聞こえてくる雑音がすべて消え、我愛羅の声だけがナルトの耳に響き渡った。
我愛羅の姿に、幼い頃の己の姿が重なる。

「だが、生きている間はその理由が必要なのだ。でなければ、死んでいるのと同じだ」

理解できない、といった表情で眉を顰めるシカマルを傍目に、ナルトの頬を幾筋もの汗が伝う。
その言葉は、ナルトの中にある深層心理を浮き彫りにした。その感情を痛いほどに理解できるナルトの掌がじっとりと汗に濡れ、握りしめた拳の中で爪が掌に食い込む。

我愛羅が言葉にしたそれは、誰からも必要とされず、孤独の中に取り残された事のある人間にだけ理解できる感情だった。

(コイツも、オレと同じだ…)

何のために存在し、生きているのか。
それが分からなくて苦しみ、もがく。

孤独の中で生きてきたナルト―――そして、『ロック・リー』としての運命を強制的に課せられたリイも、かつてそれ経験した者の一人だった。

『ロック・リイ』は何のためにここに存在し、生きているのか。

生きる意味となったガイの存在が無ければ、リイはただ『ロック・リー』の代用品として永遠にその迷路に閉じ込められたまま、分かり切った道筋を辿るだけの生を、ただ流されるままに送っただろう。

テンテンが敗北し、それを助ける為に会場に飛び込んだリイの、その伏せられた睫毛の奥の瞳に宿った感情を、我愛羅は無意識の内に感じ取っていた。
だからこそ、惹かれたのだ。
その凛として立つ姿に―――己の一部を垣間見た。
笑顔の裏に垣間見える、消す事の出来ない痛みと、恐怖の色。己の存在を確立させるためにもがく姿。

「オレはこう結論した。“オレはオレ以外の全ての人間を殺す為に存在している”。いつ暗殺されるか分からぬ死の恐怖の中で、ようやくオレは安堵した。―――暗殺者を殺し続ける事で、オレは生きている理由を認識できるようになったのだ」

額に刻まれた愛の文字は、我愛羅にとって己への誓いそのものだ。
自分の為だけに戦い、自分だけを愛して生きる我愛羅と、ガイの為に戦い、運命に抗いながら生きるリイ。
二人は、似て非なる存在だ。あるいは我愛羅自身、気付かぬうちにその生き様に、羨望のような気持ちを覚えていたのかもしれない。
だが、長い間その考えだけを支えに自己を確立してきた我愛羅にとって、愛する者の為に戦い続けるリイの姿は理解しがたいものだった。

他人は己に生の実感を与える為だけに存在している。それ以外の何物でもない。


「この世でオレに生きている喜びを実感させてくれる、殺すべき他者が存在し続ける限り―――オレの存在は消えない」


歪んだ笑顔を浮かべた我愛羅に、ナルトは思わず後ずさる。
他人に認められる事で生を実感したナルトやリイと違い、たった一人、他者を殺す事だけが唯一生きる理由として存在している我愛羅―――。
生きている世界が―――あまりに違いすぎた。
彼らは同じ場所に立ち、同じものを見ているようで―――まったく違う世界で、まったく違うものを見ているのだ。今、この瞬間でさえも。

勝てるわけがない。ナルトの喉が恐怖で鳴った。

動き出した砂が迫り、シカマルは身構える。



「だからこの女を殺す。―――オレが生きている理由、オレの存在―――。それを刻み付けて、殺す」



理解できないなら、その存在を不快に思うのなら、殺せばいい。今までずっと、そうやって他者を葬ってきたように。そうすることで唯一、我愛羅は自分の存在を確立させることが出来るのだから。
狂気に血走った目がナルトとシカマルを捉え、そしてリイを見た。


「…さあ、感じさせてくれ」


底冷えするような声。これまでに経験したことのない程、禍々しい殺気を浴びせられ、二人は蛇に睨まれた蛙のように固まる。
身動き一つとれないナルトとシカマルの背筋を冷たい汗が伝い、砂が宙を踊った。

―――殺される。

はっきりとした死のイメージが、シカマルの脳裏を過ぎる。
ここまでか、と覚悟を決めて歯を食いしばった、その時だった。



「―――そこまでだ!」



緊迫した病室に鋭い制止の声が響き、三人は弾かれたように病室のドアを振り返る。
開け放たれたドアの向こう、その瞳に隠し切れない怒気を滲ませて佇むガイの姿に、思わずシカマルは目を見開いた。

「リイから離れろ」

有無を言わせない口ぶりでリイの頸元を漂う砂を睨んだガイに、我愛羅の動きが止まる。
そのまま部屋に足を踏み入れたガイは、唐突に走った痛みに額を押さえた我愛羅を見下ろしながら眼光を鋭くさせ「本戦はまだ先だ。そう焦る必要もないだろう」と足を止めた。
流石上忍といった所か、我愛羅の殺気をものともせず、逆に威圧して返して見せたその様子に、ナルトはごくりと喉を鳴らす。

「それとも今日からここに泊まるか?」

―――ガイは本気だ。平静を装ってはいるが、眠っている教え子の命を狙われた師としては、我愛羅の行動は許せないものだったのだろう。その双眸には、いつもの快活な様子からは想像もつかない程の本気の怒りが宿っていた。
我愛羅は対峙するガイのそんな姿に、幾度となく繰り返された光景を重ね、ズキズキと痛みを訴える頭を抱える。

安堵しきった顔で倒れるリイと、それを受け止めるガイ。
愛するものを傷つけられ、怒りを滲ませるその姿。

誰かを庇う。立ちはだかる。

―――夜叉丸。

(…くそ、忌々しい…!!一体なんだというのだ…!)

リイの首に掛かろうとしていた砂がそろそろと引き、我愛羅は胸の内で燻っていたどす黒い炎が燃え上がるのを感じた。
ガイから目を反らした我愛羅は、砂がすべて瓢箪の中に戻ったのと同時に歯を食いしばりながら、ふらふらとした足取りでドアへと歩き出す。立ち尽くすナルトとシカマルには既に興味を失ったかのように目を向ける事もなく、その横を通り過ぎた我愛羅は、ドアの前でふと足を止めた。
右手で痛みを訴える頭を抱えながらガイを振り返ると、我愛羅は憎々しげにその姿を睨み付ける。



「お前達は必ずオレが殺す…。待っていろ」



互いを牽制しあう我愛羅とガイの視線が交錯した。
先程まで止まっていた風が、開け放たれた窓から病室を吹き抜け、飾られた水仙の花を揺らす。
風が止み、膨らんだカーテンが元に戻る頃には、既に我愛羅の姿は消えていた。
殺気という名の重圧から解放され、思わずへたり込んだナルトとシカマルに、ようやく警戒を解いたガイが「君たち、リイの危ないところを助けてくれて助かった。礼を言うぞ」と声を掛ける。
長い息を吐いたシカマルは、そのまま立ち上がると額に伝っていた汗を拭い、同じく座り込んでいたナルトの腕を引いた。

「一応、上に報告をしてきます」

正式に滞在を認められている同盟国の忍とはいえ、他里の忍が自里の忍を殺しかけたのだ。未遂といえど、放っておいていい案件ではない。
頼んだぞ、と頷いたガイに頷き返し、ナルトに「行くぞ」と声を掛け、促したシカマルが病室から出ていく。
人気の無くなった病室の中で、ガイはベッドの横に歩み寄りると、傍にあった椅子に腰かけた。

何も知らずにただ眠り続けるリイの髪をそっと撫でる。―――閉ざされていた瞼が微かに、揺れた。







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