「なあ、オレ姫のこと好きみたいなんだけど」
「…はい?」
いま私の目の前にいるのは、サラサラの金髪にティアラののせ、目を覆い隠すほど長い前髪をしているのに美少年だと誰もが認める自称王子ことベルフェゴール。通称ベル。私の幼なじみだ。今日は学校も休みで、家でのんびりしてたらベルが突然ウチに上がりこんできた。いや、いつものことなんだけどさ。それから、ベルが見たいと言って持参したDVDを流し、約2時間後。しんみりとしたエンディングからエンドロールが流れ始めたので、私はDVDの電源を落とした。そして、冒頭の突然の告白である。
「だーかーら、好きだって言ってんの」
「いやいや、2回も言わなくてもいいから」
ベルは私のお気に入りのクッションを抱きながら不満そうに口を尖らせる。あまりにも突然すぎるよ、王子。
「今までフツーの幼なじみだったじゃん」
「んなの、関係ねぇよ」
ベルはテーブルに手をかけて、私のほうへとずいっと身を乗り出してきた。めちゃくちゃ近いんだけど。そして、いい匂いがする。や、決して変態ではないよ。すっと綺麗な指が私の頬を撫でる。やばい、不覚にも心臓が速い。
「…なあ、王子の女になれよ」
耳元で真剣な声で囁かれてほっぺたが熱くなった。いつもふざけあってるときの声とはまるで別物。ほっぺたを撫でていた指はいつの間にか髪を弄んでいた。動作の一つ一つがいちいちかっこいい。
「……やだ」
「は?」
「ベルの女になんかなってやんない」
「……」
「でも、」
「でも?」
「ベルが私のこと惚れさせてみてよ」
私からの挑戦状。ベルは一瞬面食らった顔してから、自信たっぷりの笑顔を見せた。
「しし、面白いじゃん」
「なにその余裕」
「姫のこと何でも知ってるオレにとっちゃ楽勝すぎ」
「へぇ、やってみなよ王子様」
私も負けずと笑ってやった。こうして2人のゲームが始まった。でも、私はもう金色の王子様に勝ち目はない。私は告白される前からずっと彼しか見ていなかったのだから。勝敗がついているゲームがいま着々と始まっていく。
秘密遊戯
(私もうずっと前から好きなんだよ)
(って、悔しいからまだ言ってあげないんだから)
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書いてみたかった。
見事に撃沈しました(笑)
幼なじみ設定に久々に萌えた!
ちなみにタイトルはシークレットゲームって読んで下さるとしあわせ!←
100922