私は今日も走る。大好きでしかたないあの人のとこに。私は思い切り彼がいる部屋のドアを開けた。


「骸ーっ!」


さらさらと揺れる長い髪。スラリと綺麗なシルエット。振り向いた彼の魅惑のオッドアイ。


「姫、部屋に入るときにはノックくらいしなさいと言ってるでしょう」

「えへへ、ごめんなさい」


肩で息をしながら、私は骸を見つめる。名前を呼ばれただけで鼓動がどんどん速くなっていくのがわかる。


「はい、これ」

「これは?」

「骸の次の仕事」


A4版の茶色い封筒を差し出した。骸は苦笑い気味にそれを受け取る。骸は確かロシアからつい昨日帰ってきたばかり。


「大丈夫、国内だから」

「綱吉くんの優しさなんですかね、これは」


中の資料をぱらぱら見て、また茶色い封筒に戻す。骸の顔を見れば疲れているのがよくわかる。


「代わりに行こうか?」

「クフフ、大丈夫ですよ」

「でも、骸疲れてる」

「姫に危険な真似させるよりはマシです」

「……でも、」

「姫こっちにおいで」


そんな色っぽい声でお願いされたら行くしかないじゃん。言われた通りに私は骸が座っている椅子の横にいく。骸はにこって笑いかけ、そのまま私の腕を引っ張った。


「む、骸!?」


私は骸の膝の上で後ろから抱きしめられた格好。慌てて退けようとしたら、お腹に回されている腕に力がこもる。心臓もたない、まじで。


「疲れた僕を癒やして下さい」


耳元で甘く囁かれて思わず力が抜けた。骸に包まれている安心感とドキドキ感が混ざり合って変な感じがする。けど、不思議と心地いい。


「重くない?」

「大丈夫ですよ。こうして姫を抱きしめていると疲れが癒やされます」

「骸…恥ずかしい…」

「クフフ」


骸のおでこが肩に乗っかったと思えば、首筋にさらさらと髪があたりくすぐったい。少し身をよじる。


「姫、好きです」


骸の声が聞こえ、すぐにうなじに柔らかな感触。私の思考回路が一瞬止まりかけた。


「え、むく…」

「骸ー任務…」


私が振り向いて名前を呼ぼうとしたのと、山本がノックなしで入ってきたのはほぼ同時。


「なんかお取り込み中だったのな」

「へ…いや、あー」

「何か用ですか?」

「あ、そうそう任務の時間早まって今から行くことになったのな」

「え!」

「そうですか、わかりました」

「じゃ、先に行ってるからな」


山本は爽やかに部屋をでていった。ドアがぱたんとしまって静まる空気。それからすぐにふと解放された。


「というわけなので行ってきますね」

「あ、うん」


骸の膝の上からそろそろと退ける。骸を振り返ると骸はあったかい笑顔だった。


「返事は帰ってから聞きますね」

「…骸…早く帰ってきてね」

「はい」


骸はまた笑って部屋をでて行った。私はそのまま骸が座っていた椅子に埋もれるように座り込んだのだった。






待ってるからね
(…部屋にいないと思えば…ずっとここにいたんですね)





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深夜には帰ってきたのにむっくんの書斎で爆睡きめてるヒロイン(笑)何気にむっくん初ww
あ、山本はだしたかっただけ!


100910

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