今日という日は特別で、特別だから素直に行動したい。だから、私はいま、彼の部屋の扉を開けた。
「あ、れ」
入った部屋には誰もいなかった。なんで、なんで、なんで!!1人でドアの前で突っ立てたら後ろから声をかけられた。
「ベルなら急な任務入って今朝ででったぜぇ」
「うそ!?」
「まー早くても2、3日は戻んねらしいぞぉ」
「え、」
スクアーロは頭を撫でで"おめでと"って言ってくれた。嬉しかったけど、それ以上にベルがいない寂しさに苛まれた。誕生日は一緒に過ごす約束だった。ずっと一緒に居てくれるって約束したのに。わがままだってわかってるけど、ベルは優しいから、こんな甘えた気持ちが涙になってどんどんでてくる。
「ベルのばかー」
そう言ってベルの部屋のベッドで泣きながら、いつの間にか寝てしまっていた。
…………
……………
どのくらい寝ていたんだろ。気づいたら真っ暗だった。むくっと起き上がっても部屋はがらんとしていた。こんな虚しい誕生日になるなんて、他のヴァリアーのみんなに祝ってもらえばよかったかな。でも、ベルの部屋から出たくない。電気つけよっかな、と思ってたら廊下が騒がしい。なにかあったのかな。シーツから出ようとしたとき、勢いよくドアが開いた。
「ベ、ル…!」
「へへ、ただいま」
なんで、2、3日は帰ってこれないんじゃなかったの。なんで、そんな汗だくなの。ううん、そんなことよりも、
「ベル、逢いたかった」
「わかってるっつーの」
ベルはベッドに上がってきて、ぎゅっと抱きしめてくれた。また涙がでる。
「任務、は?」
「んなもん、ソッコー終わらしてきた。あとはカエルに押しつけてきた」
「またイヤミ言われるよ」
「そんなことよりも、姫のほうが何万倍も大事だし」
そう言って一度強く抱きしめて、すっと離した。ベルのぴょんぴょん跳ねる金色の髪が月の光にあてられて、きれいだった。
ベルは自分のティアラを外すと私の頭に乗せてくれる。
「しし、似合う」
「ベル、」
「姫は一生オレの姫だからな」
そう言ってベルは噛みつくようなキスをした。
きらきら
(誕生日おめでとう)
(これからもずっと離さない)
to 黄六さま
相互記念/生誕祝い!