空は雲一つない。これぞ快晴。たったと私の足が向かう先は私の上司がまつ和室。この襖を開ければいつものように着物姿の上司がいるんだろう。一回深呼吸をして、きっと前を見据えた。そして、勢いよく目の前の襖を開け放った。
「失礼しますっ」
和室の中央に正座する雲雀さんは少し驚いた表情を見せて、すぐにうっとうしそうにした。だけど、そんなのに負けませんから。スタスタと雲雀さんの側に寄っていく。
「雲雀さん、ピクニックいきましょう」
「…勤務中でしょ」
「外は気持ちいいくらいの快晴なんです」
「仕事は」
「そんなことよりも中で塞いでたら心身共に毒ですよ」
「ねぇ、自分が僕の秘書って自覚あるの」
「大丈夫ですよ、お弁当もお茶も準備できてます」
「…咬み殺すよ」
「雲雀さんのトンファーで私は死にませんから、平気です」
だからピクニックいきましょう、ってもう一度いう前に雲雀さんはため息をついて立ち上がった。よくわからずそのまま見ていたら雲雀さんが振り返る。
「着替えるから先に行ってて」
「…はい!」
頭を下げて部屋を出て行ったら、キッチンに置いておいたお弁当とお茶の入ったポットを持って外に出た。そしたら、雲雀さんのほうが早くて笑ってしまった。
「お待たせしました」
それだけ言って2人並んで歩いて広い公園に。ただ並んで歩くだけ。それだけで心地いいのはこの人だからだと思う。雲雀さんには雲雀さんらしくいてほしい。
「いい天気でしょう」
「そうだね」
「よかったです」
「…なにが」
「最近ふさぎ込んでいた気がしたので、少しでも元気になっていただけたみたいでよかったなって思ったんです」
それを言ったら雲雀さんが歩く足を止めた。つられて私も足を止めた。
「ねぇ、それは秘書の仕事のうち?」
「…え、」
「どうなの」
「…いえ、仕事とは別に私の勝手な考えです」
「そう」
なら、と雲雀さんは私の手を握ってまた歩き出した。突然の行動に高まる頬の熱。こっそり雲雀さんの横顔を見れば、めったに見れない優しい微笑みと視線が絡んだ。
本日晴天につき
(こんな日も悪くない)
090905