マフィア界じゃ知らない人はいないくらいのビックファミリー、ボンゴレ。その十代目ボスに命を助けられて、今あたしはここにいる。元々フリーでやっていて、自分で言うのもなんだけど腕はあるほう。だから、すぐにファミリーの戦力になった。それと程なく、あたしはボスに恋をした。だから、余計に無茶してもボスに近づきたくて、それだけでひたすら強さを求めた。そうすればボスはあたしを見てくれるって思ってた。だけど、それは違ってて。ボスはあたしじゃない、普通の、可愛くて、力もなさそうな女の子と結ばれて、結婚した。
「おめでとうございます!十代目!」
「ありがとう、獄寺くん」
「極限にめでたいぞっ!」
「おめでとう!ツナ!」
「ありがとう、お兄さん、山本」
ボスはファミリーと同盟ファミリーのみんなから祝福されて幸せそうに笑っていた。その隣でまた幸せそうに笑う女性。すごく、すごくボスに似合ってた。だから、あたしも笑った。笑ってボスを祝福するんだ。
「ボス、」
「姫」
「おめでとうございます」
「うん、ありがとう」
ボスは幸せな笑顔を例外なくあたしに向けてくれました。それは、あたしにも幸せな気持ちをくれる。同時に手が届かない距離までも一緒に。
だけど、それでも、私はボスが好きだから。愛しい人の幸せを切に願えるように、さよならするの。
ありがとうのさよなら
(あたしはボスの幸せを守りたい)
090518